遺言が歯科治療
ご主人の遺言を果たすために
「先日、主人が亡くなったんです。主人が生前、お前の歯ガタガタだな。ちゃんと治したらどうだ。って言ってたんです。それでちゃんと治そうと思って・・・。」
当院のDOCKの時にそんな話をしてくれました。突然、ご主人が亡くなったようで明らかに元気がないように感じました。この奥様にしか分かりえないストーリーがあるんだろうと・・・
私の治療のゴールは、「ご主人の遺言を果たせた!とこの奥さんが思えること。そして願わくば、次の人生を前向きに歩みだすきっかけとなること。」に定まりました。
長い治療が終わり笑顔が
受付スタッフやTCスタッフとも連携をとってこの奥様をサポートしていきました。インプラントはどうしても怖いからと言うことだったので、ブリッジと入れ歯を駆使して、60歳超えて矯正治療も頑張って約1年半かかった治療が終わりました。治療過程で歯が綺麗になっていくとともに、奥様も会話が増え、表情も明るくなっていったのを私もスタッフも感じていました。
患者様との協働で作る歯の健康
治療終了コンサルでは、初診時と治療終了時の口腔内写真を比較しながら、治療過程を振り返り、ねぎらいます。患者さんとしても忘れていた初診時の自分の状態に驚き、本当に治療を決断して良かったと気持ちの整理をする時間。私たちも患者さんの決断があってこそですし、継続して通院してくれたからこその結果、まさに協働関係のなせる技ということを思い出し、感謝を伝える場でもあります。
治療期間も1年半と長めですが、これからのメンテナンスはもっと長いです。少なくとも10年間は大きな治療介入せずにこの状態をキープしていきたい。これも患者さんのホームケアと当院のプロフェッショナルケアの協働が必要不可欠です。関係はこれからも続きます。
サプライズのお花とお手紙に涙
治療終了コンサル修了後、ちょっとしたサプライズを用意します。それは、お花とお手紙。 「長期間の治療お疲れ様でした。○○さんが、歯が綺麗になっていく過程で表情も明るくなっていったのが私たちのやりがいでもありました。きっとご主人も喜んでおられると思います。遺言が果たせましたね。」 とささやかなメッセージをその場で読ませていただきました。
奥様は涙を流され、感謝の言葉を述べられ「今日はこれから、主人のお墓に行って報告しようと思っていたんです。こんなに自分の歯が綺麗になるなんて思っていませんでした。先生にも感謝ですし、勧めてくれた主人に感謝しています。」
私たちの仕事は、歯を治し、美しくしたその先の人生に影響を与えることを伝えてくれた事例でした。